AEVE ENDING
「───倫子は?」
気に掛かったのは、やはり過去を引きずっているからか。
『…元気だよ。話す?』
「……いや、いい。倫子に伝言頼める?」
これぞ神頼み。
『別に構わない』
どうもありがとう。
雲雀ちゃんは優しいね。
「みっちゃん愛して───(ガチャン)…………切れた」
奥田が薄ら寒い言葉を口にする前に素早く受話器を置いた雲雀に、真醍が手を振った。
「電話、終わったのか?」
北の島、地上の城の一室。
あの後、もっとも衰弱が酷かった子供を含め、全員を回収し地上に出た雲雀達に、狭くも広くもない部屋があてがわれた。
鈴木や原田、朝比奈や武藤も然り。
「他のアダムは?」
「反アダム派がどーのこーのぎゃんぎゃんうるさいから部屋に閉じこめてきた」
三人掛けの座椅子にどかりと腰掛け、真醍は部屋を見渡した。
その返答に、雲雀は満足げに笑みを湛えている。
そんな雲雀を横目に、真醍はふとある姿がないことに気付いた。
「アリ?タチバナンは?」
今回の功労者がひとり足りない。
答えを求めて雲雀を見遣れば。
「…小さいのがたくさん部屋に遊びに来て、出ていったけど」
興味もなさげにそう返し、一人掛けのソファに身を沈める。
「え、あの恰好で?」
「本人は気にしてはいたみたいだけどね。子供は気にしてなかったみたい」
興味本意で客室を覗いたのだろう。
数人の子供達が部屋のドアに群がり、こちらを見ていたのだ。
雲雀は特に気にせず無視していたが、それに気付いた倫子が妙にはしゃいだ。
恐々と室内を眺めている子供達を逆に覗き返し、ニンマリ笑い返す。
更に変な顔をしつつ手を振り頭を撫でて笑わせ遊ばせと、構いだしたのだ。
「うるさい」
きゃっきゃきゃっきゃと騒がしくなったそちらへ一言冷酷に投げかければ、子供顔負けの無邪気な顔をした倫子と目が合った。
「あ、ごめん」
謝りながらも子供達と楽しそうに遊んでいる倫子を、そんなに素直に謝られてはと、雲雀はなんとはなしに眺めるしかない。