AEVE ENDING




「それでは、今からパートナー発表を行います」

ミスレイダーのテレパスが全員に行き渡る。

場所は西部箱舟、体育館兼多目的ホール。
西部アダムが百七名、東部アダムが九十四名、計二百一名が集合しても余裕の広さを誇る。

(…とは言っても、東部も西部も、協力する気なんかこれっぽっちもなかったみたいだけど)


「パートナー?」
「一体なんの話?」

ミスレイダーの突然の発言に生徒達がざわつく。
昼食を済ませ、集められたのがこの多目的ホールだ。
このホールの天井は全体が天体窓になっていて、見上げれば暗雲の立ち込める空を窺う事ができる。


―――砂浜での一件後、なんの説明もなくただこのホールに集合せよとだけ伝えられ、生徒はなにがなんだか解らないままこうして集まっているわけだ。
海洋側に西部が並び、反対側には東部。ホール前方の舞台には、数人の教師達が立っている。

「今回は異例の長期合同授業となりましたが、今此処で、その目的と内容を発表させて頂きます」

ミスレイダーが厳しく声を張り上げた。
勿論テレパスで。

脳に直接響くのは、耳元で声高に話されているように頭が痛い。
ミスレイダーはざわつく生徒達を見渡しながら、話を続ける。

「貴方達の最終目的は、地球環境の整備、再生です。その為には安定した力と使い方、そして強靭な精神力が必要とされます。これからの未来のために、貴方達はなくてはならない存在なのです。そのためにも西と東合同で協力し合い、無期限で貴方達を鍛えます。これから、奥田先生の直感力による采配を発表します 。この采配は二人一組のペアとして、これから衣食住を共にしていただくパートナーになります。西部東部の合同授業ですから、各他校のパートナーである可能性もありりますので、皆さん、東西の括りに拘らず、行動してください」

その言葉に、静まっていた生徒達が色めき立つ。
特に女子達は、「修羅」が気になって仕方がないようだ。

(余計な諍いは無用ですよ!)

そこに響いたミスレイダーのテレパスは、無音の忠告である。

恐ろしや。



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