AEVE ENDING
「…ねぇ、雲雀くんは、どうして橘なの?」
だからこそ、訊いてみたくなった。
「どういう意味?」
この年代の男子にしては華奢な、低い位置から見下ろされる。
侮蔑するその眼すら、美しい。
その底冷えするような視線に、アミは躊躇い、やがて決意したように息を飲んだ。
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「あの雲雀くんが、まさか他人に、しかも落ちこぼれ呼ばわりされている倫子に興味を持つなんて、思わなかったから」
先程の会話で、完全にアミと一線を画してしまった雲雀にアミは震える。
身を裂くような空気が、同級生と並んでいるだけだというのに、居たたまれなくさせた。
「君、馬鹿じゃないの?」
そんなアミを知っていて、雲雀はやはり無表情のまま口を開いた。
言葉の暴挙に、アミは目を見開く。
アミの長い睫毛はきゅうと跳ねたが、雲雀の表情が揺れることはなかった。
「―――橘だからだよ」
落ちこぼれだとか、自分の亡霊だとか、そんなもの関係ない。
「橘」、だからだ。
「…もう、話し掛けないで。苛々してこのまま殺しちゃいそうだから」
やはり頓着せず、流れてゆく。
そうして再び背中を向けられた。
金縛りにあっていたかのように、雲雀の視界から弾き出された途端、全身から力が抜ける。
そこを再び狙いすましたように、雲雀は口を開けた。