AEVE ENDING






―――切り開かれた体。

内臓という内臓を掻き回されて、毒という毒、薬という薬に浸された体を、まるで替えが効く玩具のように弄ばれる。

全身に走る施術の痕。
今でも時々、本当にたまに焼け爛れるように痛む内臓。

湧き上がる嘔吐感に、身を裂く、罪という罪の、重さを。



『倫子、お前はただの犠牲者だよ』
『犠牲者と呼ぶにはあまりにも、罪を背負い過ぎてしまったけれど』

あの血に濡れた眼が、私を捕らえたまま、離さない。


『殺さなきゃ、倫子』


だってわたしは、のぞんだりしなかったはずなのに。




『…たすけ、て』


脅えている。


『おねが、』


―――哀れ、な。






「…っ、!」



ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい。




『くるし、…たすけ、』


助けて。


『まだ、』


痛む、傷は赤く。



『死にたく…な、ぁ』


胡乱な眼を私に向ける、犠牲者である私の、犠牲。


(───神様)





「…君が殺した男の名を、君は知っているかね?」


それは、罪の名だ。
酷薄に嗤う蚕白が、こわい。


『精神のバランスが追いついていない』
『数値が悪すぎる。これではただの異常者だ』

虚ろな目をした、その時の私は、決して求めてはならない、ものを。



『―――なにが欲しい?倫子』

願っては、ならないものを。



『…が、欲しい』



欲しいもの。






『ヒト、が…欲しい』




それは温もりを求めたわけでもなく、ただ。






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