AEVE ENDING
「倫子が雲雀のパートナーである限り、解決策はゼロ。でもね、倫子、お前は大丈夫だよ」
奥田が煙草を揺らしながら言う。
相変わらずなにも考えていないような横顔で、いけしゃあしゃあと。
殴るぞ。
「…なにを根拠に」
あからさまに落ちたテンションで言えば。
「神様に愛されてるもの」
ササリが答えた。
それはもう幸せそうな笑顔で、見ているこっちが恥ずかしいくらい。
(愛されてる?)
あいされてなんかないよ。
『お前なんか、知らない』
あれだけ焦がれていた想いに裏切られ、再び信じることができるのか?
『寄るな、バケモノ』
(…私、は)
―――頭痛がする。
嫌な記憶だ。
忘れてしまえ。
ササリも奥田も知らない。
私と彼等だけの、秘密。
『あ な た だ れ』
「…雲雀は、私を愛してなんか、ない」
気に入った玩具を手放したくないだけだ。
食玩に傾ける程度の、支配欲でしかない。
―――馬鹿馬鹿しい。
「倫子…、」
そんな憐れむような目で見るな。
どうしようもないんだ。
どうすればいいかなんて、考えたってわからない。
この灰汁だらけの醜い体を持ったあの時から、救いなんてなかった。
(あぁ、渦が大きくなる)
もう、戻れない。
渦は刻一刻と大きくなり、私を滅ぼそうとする。
それは。
(雲雀にだって、救えるもんか)