AEVE ENDING






周囲から非難の声が上がらなかったのは、鍾鬼が「目隠し」をしてくれたからだ。
光の屈折率をねじ曲げて覆う―――、第三者からこちらを見ることは不可能になる。

それに感謝しつつ、苦痛に涙を流す真鶸を抱き締めた。


「っ、」

暴れる小さな爪が頬を引き裂く。

痛みに唇を噛みながら、憐れで憐れで憐れで、込み上げる腹立たしさに心臓が停まりそうなほど、痛い。


(…真鶸)

もがく体を抑えながら、ばしゃり、濡れた制服が不快だった。


(いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいくるしい、いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい、…たすけて)


耳を塞ぎたくなるような、意識の洪水。

本能が叫ぶまま吐き出す、感情の吐露はいつだって強烈で醜い。



「…真鶸、真鶸」


ごめんね、ごめんね。


(大丈夫、…大丈夫だよ。すぐに、良くなる)

私が悠長に日々を過ごしていた間、この子はなにも知らず弄ばれていたのか。

痛みを伴うものもあっただろう。
治療と称され、なにをされたのか。



『兄様のような、立派なアダムに』


願いを叶えたつもりか、桐生。


―――あぁ、お前を殺したい。


醜いヒトの申し子など、私ひとりで良かった。

抱える痛みも辛さもなによりも孤独感など、他の誰も感じずにいられればと、何度、願っていたか。




「真、鶸」



かくり…。

意識を失った体が弛緩する。

見計らった雲雀が、私からその小さな体を受け取ろうと膝を着いた。

長い睫毛が密やかに揺れている。




(ひば、り)


沸き上がる激情は、狂おしいほどの後悔。





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