AEVE ENDING





「…ねぇ、それで真鶸は大丈夫なの」

問えば、躊躇いがちに雲雀を見つめてきた。


「倫子の時よりずっと進んだ技術を施されたみたいだから、心配はいらないよ。今回の発作にしても、倫子に比べれば軽すぎるくらい。この調子ならなんの弊害もなく、アダムとして生活できる」

すうすう穏やかに寝息を立てる弟を見て、少しの安堵に息を吐く。


―――今は、まだ。





「…じゃあ、真鶸は頼むよ」

そう言って部屋を出ようとしたら、奥田に引き留められた。


「…実の弟が倫子と同じような人工アダムだと発覚したっていうのに、冷静なんだね」


それどころか寧ろ、痛んでいるのは。



「僕が痛む前に、代わりに痛んでくれた愚か者がいてね」

驚愕していないわけではなかった。
大切な弟を踏み滲った人間に嫌悪を抱かないわけでもない。


でも、今はね。




「―――今はとにかく、泣いてるから、行かなきゃ」

耳につく繰り返される悲痛な謝罪に、真鶸も雲雀も救われている。



「…そんな淡白でいいのか?」

確認するように問うてきた鐘鬼を煩わしく見る。



「淡白もなにも、僕の弟をそこらの軟弱な輩と一緒にしないでくれる?」

淀みなく言い放ちドアを閉めれば、一拍置いて中から小さな歓声が聞こえた。




真鶸は、大丈夫。

なにより彼は、強く在る。


(だから君が謝る必要なんて、ないんだっていうのに)







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