AEVE ENDING
「…あなた、まだタチバナミチコを調査してるわけ」
ノックもなしに入ってきたニーロにはもう文句すら出ない。
「当たり前だ。アナセスを患わせるようなヤツは、漏れなくチェックしとかなきゃ」
「…ブラコンねぇ」
「構うか」
アナセスはと問えば、食堂で日本のアダム達と交流しているらしい。
日本の学生達は当然だが、美しく有能なアナセスに敬愛の念を抱いているようだった。
タチバナミチコに対する態度などまるで妄想であったかの如く、アナセスには品行公正で接してくれる。
これは大変ありがたい傾向だ。
「あぁ、そうだ。ロビン、午後から実践鍛錬をホールでやるらしいわよ」
これはアダム全員参加のセクション仕様の特別クラスである。
言うなればタイマン勝負。
たまに実施されるこの授業で、俺は修羅と組むハメになっていた。
「…また傷が増えるなあ」
「勝てそう?」
「バカ言え。相手は修羅だぞ」
あの向き合った瞬間に見せる、濁りのない殺意。
本当に俺を憎んでいると言わんばかりの激情。
温厚な俺には無理。
「誰が温厚よ。キレたらそれこそ手がつけられない暴れ牛のくせに」
「牛とかいうな」
「あぁら、ごめんなさい。馬のほうが良かったかしら?これで鹿がいれば間違いないわね」
明らかに俺をからかって遊んでいるニーロにふつり、怒りが湧く。
「…鹿が、なんだって?」
「馬と鹿で、バカって読むんですって」
にこり。
その爽やかな笑顔を置き去り、俺は苛立ち紛れに部屋を飛び出した。
後にはニーロの笑い声と、やってきたジニーの不思議そうな声だけが児玉した。