AEVE ENDING
空間を捻曲げたテレポートは一瞬の緊張をもたらし、しかし、修羅がイヴと共に姿を消したためすぐさま弛緩する。
ゆるり、再びざわめき始めた生徒達を、梶本が統率して自室へと戻るよう促している。
倫子にしろ生徒達にしろ、あんな騒ぎの後だ。
授業を続行するのは無理だろう。
負傷した男は出血のわりに傷は浅く、命に別状はないとのことだ。
「…あぁ、うん、まあ当たり前デショ。倫子は言っちゃえばプロだからね」
奥田が鐘鬼という名の留学生に言っていた言葉が些か気になった。
ロビンはアナセスに男子生徒を気にする風に二人に近付き、聞き耳を立てた。
プロ?
タチバナが?
少しだけ鼓膜を広げて、アナセスの元に戻りながら、彼らの会話に耳をそばだてる。
「たまにああしてプロテクトが外れちゃうけどね、まあそこはさ、やっぱ性根がね」
「技術はあっても、仕留めきらないか」
「それでいいんよ、あの子はね。どうしたって蔑まれる位置にいるから」
苦笑混じりの奥田と留学生の言葉にますます首を傾げてしまう。
―――わからないことが、多すぎた。