AEVE ENDING






「やめなよ。下らないことに余計な体力使っても無駄だよ」

するり。
梶本が今にも倫子に掴み掛かろうとしていたタイミングで、雲雀が前へ出る。

ぽかり。
口を開けたのは梶本。まさか雲雀が止めに入るとは思わなかったらしい。

ププッ、間抜け面。




「…次はないと思えよ」

引っ込みがつかなくなった梶本は憮然と視線を逸らしアダム達のもとへ戻っていった。

「いちいち噛みつくのやめたら」
「あんたなら、黙ってるわけ?」
「さあね」
「なら言うなよ」
「ほんと、じゃじゃ馬なんだから」
「バカにしてんのか」
「いつもね」

そうこうしているうちに奥田の号令が掛かった。

それに応じたアダム達が、次々とその場から姿を消していく。
なかなかの上級者ばかりだ。

倫子の脆すぎる体に無駄に振動が響いた。



「ほら、行くよ」

それを見た雲雀が倫子の肩に手を置いて促す。

既に臨界体勢に入っているのか、肩の皮膚を通じてビリビリと圧力が掛かった。
全身を走る施術痕が、弾けそうな振動。


「…、」

ごくり、無意識に息を飲めば。


「加減はする。きなよ」

差し出された手。
それを取る。

(いつからこんな風に、躊躇いなく触れるようになったかな)

当初は脅え嫌悪し、嘲るばかりであったのに。





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