AEVE ENDING






「いやなに、収容所は退屈でね。なによりアダムとして生きていけぬなど、苦痛で仕方なかったもので、つい」

収監所では、アダムはその能力を奪われマジックすら使えなくなる。
それを可能としたのは、数年前開発された特殊素材であり、収監所ではそこに存在するべての物質にそれが織り込まれているという。

アダムの能力を浸透させず、跳ね返す非能力物質。



「…貴様も久しいな、バケモノ」

桐生の視線が音もなく倫子へと流れた。

侮蔑の込められたその冷線はあまりにも生々しく、この胸を舐める。



―――ビリッ。


脳髄の神経が焼ききれそうなほどの、苛立ちを感じた。




「シュラ!」

血が滲むほど強く拳を握った瞬間、背後に迫ってきた複数の気配に気付く。

探るまでもなく、個々が強力なそれは、勿論。

アナセス、ロビン、ニーロ、ジニーの「マリア」メンバーと。


「雲雀さまっ」

朝比奈と、武藤のペアだった。









―――いつだって世界は平面上の遊戯でしかなく、「わたし」を証明する意思は持っていなかった。


そうだいつも、世界は黒く「わたし」に渦巻く―――。






< 982 / 1,175 >

この作品をシェア

pagetop