今宵、月の裏側で
新世界 プロローグ
チリンチリン



自転車のベルの音がする



カーテンが閉めきられて真っ暗な部屋で僕は寝ていた


外はもう活気に満ちていた


ガチャンっと言う音を立てて僕の母 作苗(さなえ)が扉をあけた



『達(とおる)何時だと思ってるのよ!早く起きなさい』



作苗は僕の掛布団を勢いよくはいだ


僕は意識が朦朧とした中、目を擦りながら起き上がり



ふとっ時計に目をやると



『8時!?』


僕は飛び起きて一階へ階段を駆けおりて行き



ソソクさと歯を磨き顔は水をかける程度ですませ



『いってきます!』



達はそう言って玄関から飛び出した



自転車に飛び乗り一気に坂道を降り学校へ向かった



達の家から学校の間にはビルの工場現場や神社や小さな丘がある



それらを横目に学校へ自転車を走らせた



時間ギリギリに駐輪場に自転車をとめて、汗だくになりながら急いで教室へ向かう



周りの生徒には目もくれず2‐1の教室へ駆け込んだ


先生がまだ来ていない間に合ったと、安堵の表情で顔を歪ました


『よう!達、聞いたかよぉ〜?』



達のマブダチの幹生がなにやら嬉しそうに声をかけてきた
< 1 / 9 >

この作品をシェア

pagetop