銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「いけ芭蕉!!」

芭蕉と呼ばれた魔女は、背にある大きな……剣玉を、間口に振り上げる。

『清風鬼神の弾・シャウラナ!!』

間口は唱えると、左手の薬指を魔女に翳す。

すると撃ち放たれたシャウラナが、

桃色の花……そう、桜吹雪となり、芭蕉の周りを取り囲む。

〈そんな小細工は効かないねぇ。〉

だが魔女は高速で回転し、其の花を撒き散らす。

次の瞬間には体制を変え、一気に間口に襲い掛かる。

〈私には解るねぇ、あの傀儡が苦しみ、叫んでいることが。〉

魔女の剣玉は間口に頬を掠める。

間口は自分の持っている全ての技で、魔女を倒すのが無理なことを悟った。

〈友達を救ってやろうとはお前は思わないのかい?

さっきからお前は、傀儡の目を覚まさせる、としか思っていない。

救う、とは考えないのかい?〉

語りながら、剣玉を自在に振り回し、どんどん間口を行き止まりの方へ追い詰める。

「救う……だと?目を覚まさせるのも救うのと同じだ。」

間口は只管逃げる。チャンス……なんとか魔女の隙を見つけたい。
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