不機嫌マーマレード
「君は代謝が良すぎるんだよ。」



圭吾はクーラーをつけて私の方に風を向ける。



そう言っていただけると助かるわ。



ふふっと鼻先で笑って窓の外を眺めた。



車は私の自宅のある郊外へと向かっている。



見慣れた建物を目で追うと同時に圭吾との別れの時間も迫っている。



(ねぇ。今度、いつ会える?)



私はこの言葉を喉の奥で詰まらせる。

< 10 / 60 >

この作品をシェア

pagetop