黄龍

＊

横になり、目を閉じる。

いつの頃からか、それが鴉にとっての｢睡眠」だった。


闇の中、ただ時間が流れていくのに耐える。

意識が離れることはなく、思考は止まらない。
たまにまどろめば、自身の暗闇の蓋が開き、意識を無理矢理つなぎ止めた。


自室のベッドに横たわる。
閉じていた目を開け、自嘲気味に溜め息をついた。


−−寝たい。
−−今日も寝れない。


青色に染め上げた髪をかきあげながら鴉は身を起こす。


いつものように逆立てて固めていない髪が流れて顔にかかる。

動きに合わせ、耳元で無数のピアスが揺れて金属の触れる音をたてた。


枕元に置かれた腕時計を手にとる。
時刻は病院の受付開始時間の２０分前をさしている。


腕時計を着けると立ち上がり、入り口横にかけてあった白衣のもとへ進み手にとる。

羽織りながら自室をあとにする鴉の足取りは重い。
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