トドケモノ 【短】



********



その日、あたしはかなり浮かれていた。


一週間前、遠慮がちに彼にメールした。


…会いたい、って。



彼からの返事はその日の深夜。


じゃあ、一週間後あのカフェで。



たったそれだけ。


それだけの文だったけど、あたしは嬉しくてしょうがなかった。









当日になって、一生懸命おしゃれして、家をでたとき、





ごめん、ダメになった。




あたしのケータイがいつもと同じその言葉を受信した。


あぁ、やっぱり。



そう思ってしまうのはしょうがない。



そして、あたしは返事を返す。



気にしないで、って。



いつからだろう。
この流れが当たり前になったのは。


いつからだろう。
涙をこらえてメールを返すのは。




毎回、彼からそれに対する返事はこないけれど、


毎回、4日後くらいには彼からあたしの部屋に小包が届く。








その中身が、

このブレスレット。




*********






< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop