アリスの作り方
“ビクリ”
驚きのせいで一瞬体が跳ねる。
収まってからあわてて声の主を探す……嫌な予感がしたのか、無意識に右もものホルスターからダイヤを抜いていた。
「そんな危ないの下げてよ。手を上げるから」
私のダイヤに対し警戒しているのか手を挙げた男の人がいた。
18歳くらい軟派な感じの……。
細身だが最低限の筋肉はついていそうな、特にこれといって体格的な特徴。
けれど市松模様のネクタイ、そしてジャケットの下にはパーカを着るなんてカジュアルさも持ち合わせているスーツのような個性的な格好に身を包んでいるため印象的だ。
ワックスで固めたような少しツンツンした髪型にそこまで長くはないが、男の人のには少し長めの髪を後ろで結んでいた。
クスリと笑うと見える八重歯が印象的だった。
本当にそう思っているのかわからないニヤニヤとした表情で挑発するように言う。
「あなたは?」
未だにダイナを構えたままでたずねる。
と言っても脅迫に近いものかもしれないが……。
「俺はチェシャ……。チェシャ=キャティッス」
チェシャと名乗る青年は手をあげながら、相変わらず余裕たっぷりでニヤニヤとした表情で話した。