アリスの作り方
「王子!!」


王子様と聞いて王子……じゃなくてクロノスさんの顔が思い浮かぶ。

私が……

クロノスさんと結ばれる!!


「そ、そんなこと無いです」


想像しただけで顔が熱くなる。
クロノスさんは私の事を何とも思っていないんです。


「王子様なんかに渡したくないですね……私達家族としては……。」


私の頭をなでながらビルさんがティックに同意を求めた。


「な、な、何。言っているのビル!ル、ル、ルイ様の結婚はまだ認めません!!」


私以上に動揺するティック。

まだ結婚には早いって……

もう私のお兄ちゃんになる気満々みたいだ。


「……はぁ」


私はどうやら大変なお兄ちゃん達を手に入れてしまったらしい。

爽やかに黒いことを言うお兄ちゃんにシスコン気味のお兄ちゃんに少し不安を思いながらも、私は新しく出来たこの世界の家族に幸せを感じた。


だけど……


私は一人ではない。


今まで感じていた孤立感や疎外感そしてアリスと言う言葉に感じていたコンプレックスが無くなっていくようだった。
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