アリスの作り方


今日何度目かの臨死体験。


慣れてしまったせいか新鮮味がなくなったせいか、冷静を保てている。

「はぁ……」

そんなかわいそう自分を嘆く余裕すらあるほどだ。


海の中にダイブと言うことで制服のブレザーが水を吸って気持ち悪い。
なのに何故か不思議な事に、制服に重さが感じられない。
独特のあの塩水が肌にべたつく気持ち悪さを除けば、普段と同じで海の中という事を忘れてしまいそうだ。
それに体も魚になったように軽く容易く前に進んでいける気がした。



「そのまま前に進んで下さい。」


後ろから聞こえたティックの声、慌てて後ろを見てみるとちょこんと水に浮いていた。
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