アリスの作り方

「私は何もわからないから……。全く何も知らないから…――あなた達をどうすればいいかわからない。」


二人の前に行き、ティックに聞えないように少し小声で二人に対して言う。


無力な自分に対してあざ笑うように。

けれどどうしても伝えておきたかった。


あなたたちが思っている様な“アリス”はいないと。

二人は私がこんなこと言うとは思っていなかったのだろう、きょとんと目を丸くする。

だがそれは一瞬で、私が気付いたときにはもう先ほどまでの表情に戻った。


「ふぅーん……、じゃあそんなアリス様に俺から忠告」


そんな私の様子に気づいているかのようにスペードさんが笑いながらいう。



「あのウサギに心を許すなよ。後々大変なことになる」
< 65 / 293 >

この作品をシェア

pagetop