アリスの作り方
「私は何もわからないから……。全く何も知らないから…――あなた達をどうすればいいかわからない。」
二人の前に行き、ティックに聞えないように少し小声で二人に対して言う。
無力な自分に対してあざ笑うように。
けれどどうしても伝えておきたかった。
あなたたちが思っている様な“アリス”はいないと。
二人は私がこんなこと言うとは思っていなかったのだろう、きょとんと目を丸くする。
だがそれは一瞬で、私が気付いたときにはもう先ほどまでの表情に戻った。
「ふぅーん……、じゃあそんなアリス様に俺から忠告」
そんな私の様子に気づいているかのようにスペードさんが笑いながらいう。
「あのウサギに心を許すなよ。後々大変なことになる」