アリスの作り方


あぁ、なんて退屈なんだろう。


六月中旬。
高校に入学して、初めての中間テストももう終わったくらい、ついこの前まであわただしかった日常も落ち着いてきて、段々と平凡な一日に変ってきた。



「ふぁー」


だからだろうか、大きなあくびをしながら私は家へと帰っていく。
ついこの前まで、この道をわくわくしながら歩いていたのが嘘みたいだ。


しかも部活という青春を謳歌している活発的な友達が多いせいか、帰宅部に入っている私は特に用事はないため、必然的に私は一人で帰る事になっている。
それが退屈の大きな原因である。

だって授業が終わってからも学校に縛られるなんて、自他共に認める面倒くさがり屋の私には考えられないから。


「ふぁー」

そうは思っていても一人で帰ることは退屈のせいか自然とあくびがでる。

暇すぎてつまらない。
音楽を聞きたいと思っても、学校で問題になったら面倒くさいからMP3プレイヤーは今もっていないし……。
あぁ、暇をつぶせる部活に入ろうかなぁ。
けど、面倒臭いし。

私は面倒臭いことと退屈が嫌いなんてかなり厄介な性格の持ち主なのだ。
それでもなんとなく一緒に遊ぶ友達はいるし、友達いわくその気だるさが私のうりというかチャームポイントらしい。


なんて考えていても暇にも変わらないわけで、あぁここで、“今日部活休みだった”といいながら可愛らしく手を振って仲が良い誰かが現われるという、非日常が起これば良いのに。


そんな大きな奇抜な変化は望んでいないが、(寧ろ来た場合丁重にお断りするが)だからと言って一人で暇そうに歩いているのもつまらない。



些細な変化は訪れないものか。


そう思いながら私はまた欠伸を一つした。

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