星屑
ベッドに片膝を立てた状態のヒロトと、その前で腕を組んで立つ樹里。


スッチは少し遠巻きに丸椅子に座り、そんな光景を見守っているようにも見えるが。


ヒロトの右手は無数の切り傷にまみれていて、でも誰にも触らせないと言った風だ。


まさに、手負いの獣状態。



「奈々、コレどうにかしてよ。」


樹里はこめかみを押さえた。


スッチは向こうで曖昧に笑い、あたしはため息を混じらせる。


ヒロトはあたしから視線を外し、無視を決め込む格好だ。


こういう時のコイツは、本当に困る。



「悪いけど、みんな出てって。」


「…奈々?」


「コレとふたりで話するから。」


樹里とスッチは顔を見合わせ、諦めたように肩をすくめた。


そして沙雪も一緒になり、あたし達を残し、みんなは保健室を後にする。



「コレとか言うな。」


「うるさいわねぇ。
とりあえず、その手どうにかしてあげるから。」


「お前に任せたらもっとひどくなりそう。」


「失礼なこと言わないでよ。
あたしこれでも、保健委員なんだからね。」


まぁ、名ばかりだけど。


とりあえずはヒロトとは、一応会話は出来るらしいが。



「人って手首切れたら死ぬんだから、そういうこと少しは考えなさいよね?」

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