星屑
「ちょっとね。」


「すんげぇ嫌いとか思ってる?」


「思ったかも。」


口を尖らせて言うと、彼はあたしへと視線を滑らせた。



「土屋の何が良いの?」


「…何の話してんの?」


「お前、マジで言ってる?」


刹那、体が反転した。


僅かに軋んだベッドのスプリングと、視界を占めるヒロトの顔。


彼の後ろには天井の白い色が見え、金髪が蛍光灯によって照らされる。


気付けば押し倒された格好だ。



「これってシャレになんないよ?」


「シャレじゃねぇだろ、どう見ても。」


じゃああの婦女暴行宣言は、本気だったということか。



「なぁ、俺がお前のこと見てないとでも思ってる?」


「手出さないって言ってたよね?」


「お前結局誰が好きなの?」


「少なくとも、こういうことするヒロトは嫌い。」


「俺が本気で何もしねぇとか思ってねぇだろ?」


「あたしが誰を好きかなんて、聞く気ないんじゃなかった?」


会話なんてちっとも噛み合わない。


それでも噛み付かれそうなほどの距離で、ヒロトはあたしを睨み付ける。


掴まれたままの手首はじりじりと痛み始め、あたしは唇を噛み締めた。



「とりあえず放してよ。」

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