星屑
どうにもこの場所に居辛くなった気がしてそう言うと、ヒロトは送るわ、と一言だけ。


正直な話、この人よりもスッチに送ってもらった方が安心なんだけど。



「どうせ俺、行かなきゃいけねぇとこあるし。」


そう言われては、断れない。


後輩くんたちはお疲れっす、と見送ってくれ、スッチも手をヒラヒラとさせるだけ。


仕方がなくもあたしは、ヒロトと一緒に店を出た。


外はやっぱり小雨がパラついていて、雨音はビニール傘を弾く。


少しの肌寒さにため息を混じらせ、水たまりを除けて歩いた。


ヒロトと傘を並べて帰るなんて、何だか変な感じだけれど。



「お前さぁ、ちゃんと真っ直ぐ歩けよ。」


「歩いてんじゃん。」


「どこがだよ。
ふらふらしやがって。」


瞬間、ぐいっと腕を引かれて驚いた。


後ろから来た車はライトを照らしながら、少しの水を散らし、あたし達の横を通り過ぎる。



「子供かよ、お前。」


立ち尽くしたままだったあたしを見て、ヒロトは伏し目がちに笑った。


再び灯りさえなくなった世界は、雨音が支配している。


小さく笑ったヒロトが珍しすぎて、言葉を持てずにいると、彼はそんなあたしに「何だよ?」と眉を寄せた。


腕はまだ、掴まれたまま。

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