星屑
ひとつ息を吐き、チャイムを鳴らす。


少し待てばガチャリと扉が開き、顔を覗かせた人物はあたしを見て、驚いた後に柔らかく笑った。



「誰かと思った。」


明らかに学校をサボっているはずなのに、彼に咎められたことは一度もない。


入ってー、と言われて中へと招かれたが、玄関に置かれている女物のヒールを前に、それも踏み止まってしまう。



「トキくん、もしかしてカノジョ来てた?」


「カノジョじゃないし、もう帰らせるから良いよ。」


その言葉と同時に、彼の後ろから女の人の姿。


明らかに行為を終えたような薄着で、おまけに今の言葉を聞いていたのか、ありえないとでも言いたげな顔をしている。


ヤバかったかな、と思った。



「その子、誰よ?」


「ミサキさんより大事な子。」


「は?」


「だから帰ってくれるとありがたいんだけどな。」


ミサキさん、と呼ばれた彼女は目を見開くが、トキくんは悪びれてもいないような顔で綺麗に笑う。



「どういう関係?」


「それは、旦那さんがいる人に答える義務はないでしょ?」


瞬間、バチンと乾いた音が響いた。


トキくんが頬を張られるのを見るのはこれが4度目だが、相変わらずデンジャラスだと思う。


怒った顔した彼女は乱暴に衣服や荷物を持ち、わざとのようにあたしに肩をぶつけ、部屋を出た。


が、彼はどうにもバツが悪そうな顔で笑うだけ。

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