星屑
テスト期間中だということもあり、長居はせずに家に帰った。


送ってくれる車内、シンちゃんは言葉を選び出すように話してくれる。



「お前のママにはさ、一応恩も感じてんだよ。
それに責任もあるし、だからアイツを放っとくことは出来ねぇわけ。」


意味はわからないが、それでもうん、と頷いた。



「ママはさ、お前がちゃんと大人になって、色んな事を受け止められるようになって、そんで知りたいと思った時に、“父親”のこと話すって。」


「そっか。」


「だからそれまでは、俺の口からは何も言えないんだ。」


きっとシンちゃんとママの仲は、あたしの“父親”が関係しているのだろうと思う。


毎月定期的にお金を振り込んでくれる、生きているのか死んでいるのか、名前さえ知らないその人。



「だからお前の友達もさ、今はそっとしておいてほしいんじゃねぇの?」


確かに、無理に聞き出すことが良いことだとは思わないけど。



「それにさ、何も言わないってことは、自分の中で答えを探してるのかもしれねぇじゃん?」


「そうだね。」


シンちゃんの言葉には、救われることが多い。


だから見守るべきなのかもな、と自然と思えたんだ。


その選択を後悔する日が来るなんて、思ってもみなかったけど。


夏休みになれば、きっとまた、みんなで笑い合えるのだと思っていた。


二学期になったら、楽しい学校生活になるのだと思っていたのに。


一体、どこから狂ってしまったのだろう。


色んな秘密を知るのは、もっとずっと後のこと。

< 227 / 418 >

この作品をシェア

pagetop