星屑
おずおずと問うた瞬間、息を吐いて口を開いたのは樹里だった。



「沙雪、子供出来たって。」


それはつまり、妊娠したってこと?


その意味さえ理解出来ず、あたしは目を見開いたままに言葉が出なくなる。



「それって大地との、ってことだよね?」


でも勇介は、横から冷静に聞いた。


僅かに沙雪の頭が上下し、また彼女は肩を震わせる。


だから勇介も一緒に呼ばれたのだろうけど、でも、ヒロトとスッチがいる意味がわからない。



「産むの?」


勇介が再び聞いた瞬間、バンッ、と机を叩いたのはヒロトだった。


びくりとして肩を上げたあたしと、「やめなよ!」と制止する樹里。


彼は舌打ちを混じらせるが、その横にいるスッチは黙ったまま。



「大地は堕ろせってさ。」


「……え?」


ねぇ、何言ってんの?


産むとか堕ろすとか、これってそんな一言で決める話じゃないはずなのに。



「ちょっと待ってよ!
だったら大地くんも呼んで、ちゃんと話を…」


「大地、本命の女いるんだって。」


遮るような樹里の言葉に、だけどもやっぱりあたしは思考が及ばないまま。


今まで疑念ってだけだったことを、こんな形で事実として知りたくはなかった。



「…嘘、でしょ?」

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