星屑
困惑することしか出来ないあたしと、マジ許せねぇ、と苦虫を噛み潰したように呟くヒロト。


恐る恐る視線を向けてみれば、勇介は唇を噛み締める。



「…ねぇ、勇介もしかして…」


知ってたの?


言い掛けた瞬間、ヒロトがその胸ぐらに掴み掛かった。


ガタンッ、と椅子の倒れる音と、一触即発の空気。



「てめぇ、ホントは知ってたんだろ?」


ヒロトは顔を歪めるが、勇介はそれを睨み上げ、放せよ、と吐き捨てた。



「確かにアイツに好きな女がいるのは知ってたけど、今も続いてるかどうかなんて俺には興味なかったし。」


「んだと?」


「俺が、大地の行動を24時間把握してりゃ良いわけ?
それより今は、さゆちゃんのことなんじゃないの?」


確かにそうだけど、でも、そういう問題じゃないと思う。


また泣き出した沙雪を一瞥し、舌打ちを吐き捨てたヒロトはその手を離した。


多分彼女だってそれを知ってて付き合っていたのだろうが、でも、頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。



「沙雪、どうすんだよ!」


声を荒げるヒロトに、やっぱり肩を震わせる彼女。


どうして彼は、沙雪のことでここまで冷静さを欠くほどに怒り狂っているのだろう。


樹里は悔しそうに唇を噛み締めていて、スッチは顔を覆うように沈黙を貫いている。



「…さゆ、産めるわけないじゃんっ…」


それはつまり、堕ろすということだ。


涙混じりの彼女の言葉に、ただ背筋がゾッとした。

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