星屑
ふうん、と言った樹里は、ヒロトへと視線を移す。


勇介と彼が普通に会話をしたことは奇跡なのかもしれないが、それより前に、あたしは避けられていたのだと今更思い出した。



「帰る?」


それを察したらしい樹里は、困ったように言う。


頷いたあたしを見て、ヒロトは何も言わずに立ち上がった。



「ヒロト、どこ行くの?」


「スッチんとこ。」


それだけ言い、携帯片手に彼まで店を出てしまう。


最終的に、あたしと樹里だけ取り残された格好になり、ふたり、顔を見合わせた。



「今日ね、ヒロトとスッチといた時に、沙雪から泣きながら電話掛かって来て。」


だから一緒だったのかと、今更納得した。



「でも、奈々と勇介も一緒にいたなんてね。」


ねぇ、付き合ってるの?


そんな問いに、あたしは首を横に振った。



「そういうんじゃないけどね。
でも多分、似たようなモンだと思うよ。」


何それ、と言いながら、樹里は力なく笑っていた。


あたし達は、こんな他愛もない会話をすることでしか、誤魔化せないのだ。


沙雪のことを思い出すとまた、涙が溢れそうになってしまうから。



「あたしが大地くんとの仲を取り持たなければ、こんなことにならなかったのかも。」


「やめなよ、奈々。
それはアンタだけじゃなくて、あたしも悪いんだと思うから。」


過去を悔んで、自分たちを責めることしか出来ない。


そんなことをしても何もならないというのに、悲しいことだ。

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