星屑
この人は、いつも真っ直ぐだ。


ひねくれてるくせに、こういうことだけははっきりと言う。


だから揺らいでしまい、そんな自分が本当に嫌になる。


だってさっきまでは頭の中に勇介しかいなかったはずなのに、なのにもう、別の男のことなのだから。



「やめてよ、そんなの!
アンタ女いっぱいいるんでしょ!」


「お前さぁ、んな噂いちいち信じるなよ。」


長くため息を吐き出し、ヒロトは面倒くさそうな顔で舌打ちを混じらせた。



「俺はアイツとは違うし、いつからお前のこと見てると思ってんだよ。」


そして今度は、そっとあたしを抱き締めた。


いつも体の冷たい勇介とは正反対なくらい、熱い腕。


あの人より背が高くて、腕も太くて、そんなことばかり比べてしまうあたしは、やっぱり最低なのだろう。



「忘れろよ、もう。
つーか俺が忘れさせてやっからさ。」


だから、とヒロトは息を吐く。



「俺と付き合えよ。」


言葉は容易に想像出来たはずだった。


でも、それを制止することが出来なかったのは、あたしの弱さそのものだ。


だからただ、どうすることも出来ない涙がまた溢れ、ヒロトの胸に縋るように泣いた。


まだ何が現実なのかもわからない頭で、そんなことを考えられるはずもない。


それでも、今のあたしにはヒロトだけが頼りだったのだ。


もう、勇介を好きだった気持ちが、上手く思い出せないから。

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