星屑
キスをされた。


それさえ拒めず、形だけの抵抗のために上げた腕もまた、易々と捕えられる。


勇介がしていたからとかじゃない。


ただもう考えたくなくて、だから何でも良かったんだと思う。


繰り返すキスは次第に深くなり、呼吸が乱れる。



「お前はホント、危機感のねぇ女だなぁ。」


呆れたように言いながら、ヒロトは唇を離した。



「ここでヒロトが止めるなんて思わなかった。」


「俺は、一回限りの過ちとかで終わらせられたくねぇから。
それに、さすがに今のお前とヤッたら確実に俺、最低な男だろ。」


思い出す、勇介との出会い。


ヒロトの瞳から逃げるように、また目を逸らした。



「言ったろ?
俺はマジな女には手出さねぇ、って。」


「キスしといてよく言うよ。」


言ってやると、彼はバツが悪そうに舌打ちをし、息を吐いて視線を落とした。



「別に今すぐ俺のこと見ろとか言わねぇけどさ。
でももう、わかってんだろ?」


言葉が出ない。


もう勇介の何を信じれば良いのかさえわからなくて、だから元に戻れる自信はない。


ヒロトだけは、そんなあたしをずっと好きでいてくれたんだ。


まるでスッチのようで、だから胸が締め付けられた。



「アイツとはもう、別れろよ。」

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