星屑
「勇介と、何があった?」


少し気まずそうに、でもストレートに聞かれるのはいつものこと。



「ヒロトに無視されてるとか言ってたくせに、何でさっき一緒にいたんだよ?」


答えることが出来ず、顔を俯かせれば代わりに涙が溢れた。


肩を震わせるあたしに向け、シンちゃんはため息を混じらせる。



「泣いても良いから、言わなきゃわかんねぇだろ。」


そう言われ、堰を切ったように大粒の涙ばかりが落ちる。


単語でしか伝えられなくて、でもシンちゃんはちゃんと聞いてくれた。


この一週間で溜め込んでいたもの、そしてずっと嘘だと思いたかった気持ちさえ、吐き出してしまったのだ。


勇介のことを好きになって、付き合ったのにあんなことになって、なのにヒロトにまだ好きだと言われたこと。


彼は黙ってあたしの頭を撫でてくれる。



「もう良いよ、わかったから。」


今日ほどシンちゃんの悲しそうな、それでいて怒りに満ちた顔を、あたしは見たことがなかっただろう。


自分がいかにみんなから甘やかされているのかということもわかってるけど、でもどうすることも出来なかった。


気付けば部屋には夜の闇が訪れていた。


散々泣いて、そしたらまた、喋る気力を失ってしまう。


それもまた、あたしの悪い癖なのだろう。



「お前ら親子は、ホントそういうとこがそっくりなんだよ。」


シンちゃんは、窓の外へと視線を滑らせた。



「俺に頼って来て泣くくせに、縋ろうとはしないっつーか、変なとこで意地張って。」

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