星屑
ママの言葉を一言一句聞き洩らしたくはないはずなのに、気付けばあたしは涙ばかりが溢れていた。


勇介と血の繋がりがなかったということよりも、ずっと大切なことを知ったから。



「勇介くん、ごめんなさいね。」


ママは深々と頭を下げる。



「何の関係もないあなたまで巻き込んでしまった。」


「でも静香さんが奈々を産んでくれたことには、感謝しています。
あなたを恨んだことだってあったけど、でも悪いことなんて何もしてない。」


勇介の言葉に、ママは涙を堪えるように唇を噛み締めた。


シンちゃんは何も言わずに煙草を咥えたっきりで、そっと横からトキくんが水を置く。



「奈々ちゃんと勇介くんは、きっと出会う運命だったんだよ。」


そんな言葉にあたしはまた、涙が零れる。


ママの想いとシンちゃんなりの自責の念、トキくんはそれを見守っていて、自分自身の生まれた意味を噛み締めた。



「お願いがあるの、勇介くん。」


「はい。」


「土屋さんに会わせてくれないかしら。」


決意したような、強い瞳。


勇介にとってはママ達の過去がどんなものであれ、家庭を壊した人間なのに。



「勇介、俺からも頼むよ。」


横からは、シンちゃんも言う。



「こんなのもう言い訳なのかもしれねぇけど、静香はあの日以来、土屋さんと会うことはなかったんだ。
だから勝手だけど、もう一度ちゃんと会わせてやってほしいんだよ。」


少しの間を置き、わかりました、と勇介は言った。


そして彼は携帯を取り出す。

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