星屑
ひとりで生きていくと決めた、18の春。


子供を産むと決めたのは19の夏で、今にして思えば幼すぎた。


それでも懸命に出した答え。



「なら、生まれてくる子供はあなたの子です。」


「…ナナさん、何を…」


「血の繋がりなんかなくても、父親はあなたであると、この子に教えてあげたいんです。
お父さんは誰かを傷つけるような人間じゃなく、素晴らしい人なんだよ、と。」


宿った命が、男の子か女の子かなんて、わからない。


けれど土屋さんのように、優しくも人を愛せる子に育ってほしくて、それを願い出た。


彼は涙ぐむように顔を俯かせる。



「あなたと出会えて救われたのは、わたしの方なのかもしれません。」


恋愛めいたものではなくとも、互いに愛を感じていたのだろうとも思う。


こんな世の中で、そう感じられる相手に出会えたことは、真哉も含めて奇跡なのかもしれないけれど。


人と繋がることがどういうことかは、わからない。


けれど、みんなの優しさの中で生まれてくることを、どうかこのお腹の子にだけは、わかてほしいと思う。


土屋さんとは、そこで別れた。



「真哉、話があるの。」


先ほどのことを隠さず伝えると、彼は戸惑いを隠せないといった様子だった。


でも、生きるにはお金が必要だということを誰よりわかっていて、それに甘えることを否定しなかった。


決して自分を責めることはなく、それが罪なことならば、一緒に背負ってやるとまで言ってくれたのだ。


生まれた子に“奈々”と名付けたのは、自らがナナとして生きたことを忘れないために、そしてその名を呼んでくれる土屋さんのために。


真哉は育ての父として、変わらず傍にいてくれた。

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