星屑
「喜ばしいことだけどさ、樹里達いなくなるの、やっぱちょっと寂しい。」


漏らしてしまったのは、本音だった。


3年になっても、あたし達は変わらずずっとこのままなのだと思っていた。


一生こんな風にして笑い合えるなんてことは思ってなかったけど、でも、別々の道を歩むには、少し早すぎる。



「一年前には、こんなの想像出来なかったよね。」


樹里は懐かしむような顔で言った。



「まさかこんなことになるなんて思わなかったし、楽しいだけじゃなかった。
けど、ここにいるみんなと、色んな事乗り越えたと思ってる。」


沙雪は涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、樹里はそんな彼女を優しく見つめた。


そのまま瞳はあたしへと移され、目が合うと、笑ってしまう。



「だからもう、あたしは十分高校生活満喫したよ。」


樹里もヒロトも、きっと将来への不安はあるだろう。


それでもふたりで下した決断を、否定なんてすべきではないのだと思う。


樹里とヒロトにも、沙雪とスッチにも、それぞれに時間が流れ、答えを出したのだから。



「幸せになってね。」


あたしは言った。


ヒロトは一瞬驚いて、でもうるせぇよ、なんていつもの憎まれ口。


そこにはもう、恋愛感情なんてものは一切なく、また笑ってしまった。

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