星屑
「今日、何味?」


やっぱり聞かれるのは、決まってチュッパのことらしい。



「キャラメル。」


「ストロベリーじゃなくて残念だったね。」


覚えてたのか、と少し驚いた。


ひとり、またひとりと教室には人が入ってくるが、誰も隣同士で座っているヤツなんていない。


何だかこれじゃあ、勇介と付き合っているとか思われそうで嫌だ。


足を組んでポケットに手を突っ込み、椅子の背もたれに寄り掛かるように彼は、やる気なく座り、前髪を指先でいじって遊んでいる。


あたしはキャラメルの味を舌の上で転がしながら、早く帰りたくて堪らなかった。



「よーし、全員揃ったかー?」


一番最後に入ってきたのは、保健委員の先生と、そして養護教諭。


彼らはぐるりと席を見渡して、そして委員会の進行を始めた。


なんてことはない、保健室でサボるな、という内容のもので、正直こんな会を開く必要なんかないと思うのだが。



「特に土屋みたいなのは悪い見本だからな。」


先生はいたずらにそう言い、勇介もまた、「そうそう。」と返す。


笑いが起きるが、あたしはやっぱり呆れていた。

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