星屑
「でも、大地っていっつも俺の隣にいるけど、ホントわかんないの?」


「てか、アンタの隣っていっつも女じゃない?」


言ってやると、勇介はバツが悪そうな顔で曖昧に笑う。


そして、よく見てんね、なんて言って誤魔化されるわけだが。


別に、彼の隣に女がいることは普通だし、だからって勇介は興味の欠片すらなさそうな顔をしてるから、どうだって良いのだけれど。


コイツは他人に興味がないくせに、周りに対して広く浅くまんべんなく、優しさと作り笑いを見せている。


だからモテるんだろうけど、でも、冷たさを含んだような男の顔は、多分あたしの前でしか見せてはいないはず。


きっとそれが、彼なりの処世術だろう。



「ってことで、ホテルでも行く?」


「行かないわよ。」


「ははっ、振られた。」


どうせその気もないくせに。


結局全てのことは、こうやって上手く誤魔化されるのだ。


一番近い場所にいるはずなのに、勇介のことも、その心の内も、あたしは何も知らないまま。



「あたし、そろそろ帰るね。」


「なら俺、送るよ。」


そう言って、勇介はあたしと同じように席を立つ。


その瞬間、



「はいそこ、ストップね。」


こちらを睨んでいるのはシンちゃんだった。


そして咥え煙草のまま、つかつかと歩を進めてくる。



「奈々は俺が連れて帰るから。」

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