君の声


 「由衣…今日俺の家来る?」

 「えっ…?」


由衣が店内の時計を見ると8:30だった


 (あっ…亮介のお義父さんたち心配してるね……)

 「ぅぅん…帰るよ…」

 「…今頃相手と盛り上がってるかもよ?」


俺は何を言ってるんだ!


由衣を追いつめるような言葉


 「…それでも……あそこにしか…帰る場所は…ないから……」

 「わかった…送るよ…」


由衣はがぶりを振って俺に言った


 「亮介のお義父さんたちも心配してるから……ひとりで帰る………」


 「でも…」

義父さんに電話しようかと思っていたのに

由衣は席を立ってしまった


俺は仕方なく会計を済ませて由衣の寂しそうな背中を見送った


この時少しでも引き留めていたらあんなことにはならなかったのかな?





< 139 / 261 >

この作品をシェア

pagetop