君の声
君の声、僕専用
「あら珍しい、由衣ちゃん夜勤だったの?」
「いえ、鞠ちゃんがぐずってしまって…」
「鞠ちゃんは本当に由衣ちゃんに懐いてるわね?」
「そうですね?私も嬉しいですよ?…じゃぁお先に失礼します」
「はいはーい」
18才になった由衣は養護施設で臨時職員として働いていた
手話の出来る由衣はそれだけで歓迎された
由衣自身も学歴もない自分を雇ってくれた先程の正職員に感謝していた
南に少し似た雰囲気のある女性、杉本
立夏の屋敷から出て最後に会った南は
「私のことは気にしなくていいから…幸せになりなさい由衣」
と何度も言ってくれたが由衣の固い決意に屈して由衣の両親が残していた預金通帳を渡した
「本当にいいの?立夏さんのこと…忘れられる?」