君の声


立夏は息を吸い込んでからノックをした


 「由衣?」


返事がない


立夏はドアノブに力を入れてゆっくりとドアを開いた


 「由衣?」


バスルームにでもいるのだろうかと一声かけてもやはり返事がない


シャワーが流れる音もしない


立夏はベッドランプがついていたのでベッドに近づく


 「由衣?」


17才とは思えないほど無垢な寝顔の由衣が横になっていた


 (眠ったのか?…さっきも5時間も寝たのに…)


頬にかかる髪を払ってやるとにこりと立夏に笑いかて来る


 (起きてるのか?)


と思わせるほどに自然な笑み


立夏は額にキスを落とすと由衣に毛布をかけて、室内の暖房を調節して部屋を出て行った





< 41 / 261 >

この作品をシェア

pagetop