君の声

優しさ



 「……っ!」


ゆっくりと瞼が開いて真っ白な天井をとらえると由衣は飛び起きた


 (えっ?えっ?)


施設の自室とは違う内装


 (あ…そうか…私…っ…)


昨日のことを思い出すと一番新しい記憶

立夏がキスしてきたことを思い出す


そして赤面してふかふかの毛布をぎゅっとつかむ


 (…わけわからない…)


コンコンッ


 「由衣様、おはようございます」


律子の声がすると中を伺うようにドアが開く


律子は起きていた由衣を確認すると、にっこりと微笑みながらベッドに近づいた


 「よくお休みになられましたか?」


由衣の顔が赤くなっているのは気になるが、自分に笑って「おはよう」と言ってくれている気がした






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