ひだまり
「でも、ほんと少しかっこいいよね」
エリが握力計の準備をしながら言った。
「誰が?」
「佐野先生だよ」
「え~良く分かんないな~年上すぎて」

そんなことを話していると渡辺先生が近づいてくるのがわかった。
「エリ!聞こえたんじゃない?」
「まさか・・・怒られるのかな??」
二人でビクビクしていると、なぜか先生は笑顔だった。

「倉沢さん、実はあなた、この学校の駅伝チームの特別選手に選ばれたから、
今日の放課後、グラウンドへ行ってね」
・・・・・・。

なんの話か全く飲み込めずにいると、
「あぁ、何で選ばれたのかと言うと、この前の1000メートルのタイムが良かったから
駅伝チームの顧問が是非選手に欲しいんですって。
うちの学校の駅伝チームは、とても強くて有名なのよ。
入りたくても、顧問の先生が納得するタイムじゃないと入れないのよ。
とても光栄なことだから、頑張りなさいね!!」

とだけ伝え、先生は違う生徒の方へ行ってしまった。

「カナ!すごいじゃん」
目を輝かせて言うエリ。
「・・・っていうか、私に決定権はないの?!」
私は何だか嫌な気分だった。

「だって、入りたくても入れないっていってたじゃん、カナすごいよ」
「すごくないよ!!駅伝なんて、長距離じゃん!!嫌だよ~~!!」

「でも、渡辺先生に逆らう勇気ある?」
「・・・いや、ない・・・。」
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