白いユキ

*過失「カシツ」




書斎の近くまで来ると、話し声がした。


─父と母の声。



「あなた、あの子スゴく頑張ったんですよ?」


「学年で一番ですって!すごいわ…和希みたいでしょ?」



「…霞は、女の子なんだ。…そんなに勉強して、なんになるんだ?」


「でも、あなた…私の、あの子は…あんなに頑張っているのを……誉めてあげて…」


「無意味だ!」


「えっ…?」


「…後継ぎでもない、霞が、まさか、医者になるわけじゃない…そうだろ?」


「あなた!!」


「霞には、無理だ…医者にはむいていない…」


「あの子は、優し過ぎるから…霞には、女の子らしい生活をおくってほしいんだ…」


「和希とは、違うんだから。」



「……」



「お前も、わかっているだろ?霞は霞なんだ。」


父の声は、哀しそうな声だった。








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