ジャス
暗黒神・風牙

 再び闇夜が訪れた。いつかと同じ巨大な満月が覆っている。

 太鼓の音が響く。至る所で狼煙(のろし)が昇る。

 それを合図とする様に、そこら中からポツリポツリと人が現われ合流していく。

 人々の顔に笑顔は無い。暗く沈んだ表情に包まれていた。

 長い行列の先頭には黒い棺(ひつぎ)が担がれていた。




 ウルフ星。この星は神が統治する国家で、今から遥か昔、神の一存で戦争に合流した。

 それにより星は枯渇・衰退の道を辿る。

 当時神を崇拝していた国王は、神に戦争からの撤退を忠告する。だが神はその忠告を無視する形となる。

 やがて王家は衰退して行った。ここに唯一神の国家が築き上げられた。

 大戦後、星は衰退の道を辿る。神は我が身の為だけに作物の独占、生け贄による延命措置を取った。

 …もし自分に逆らえば星を滅ぼすと宣言して…
< 63 / 79 >

この作品をシェア

pagetop