淡雪


石は案外、簡単に倒れた。
途端にその場に霧がかかる。

『貴方のおかげで外に出られたよ。ありがとう』

さっきの声が聞こえる。
…姿は見えないけど。

「君は誰なの?何処にいるの?」

『あ、ごめんね。今霧を消すから』

途端に薄くなる霧。
同時に雪が降りだす。

『初めまして、俺は雪就』

「うぇ!?は、初めまして…」

『貴方の名前は?』

「ゆ、雪奈、です」

『あはは、そんなにビクビクしなくても。』

前から知り合いのように話し掛けてくる彼。

「だって、さ。君、幽霊でしょ…?」

『うん。でも取って食おうって訳じゃないし、』

そう言ってケタケタと笑う。

(なんか、明るいお化けだなぁ…)

『さて、と。あのさ、雪奈の家に住ませてくれない?』

「え?私の家?」

『そ。幽霊ったって家は必要だしさ、』

ね?
と聞いてくる。

(ね?なんて言われても…)
「まぁ私は構わないけどさ」

(どうせ一人だし、)

賑やかになっていいかもと思った。


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