X's Supremacy
「先輩~。
交代しましょー」
いつも通り、制服の下には鎧は着らずマッチョたちよりも軽装で、腰には細身で軽い剣をつけている。
見た目は少し用心深い少年、という具合だ。
「ロイド…。
そんな格好で盗賊きたらどうする気だ?死ぬぞ。」
「だいじょーぶっす!
いざとなったら逃げますから。」
にやっと笑みを返し、頑張れよ、と声をかけて先輩マッチョたちは帰っていった。
盗賊だって毎日来るわけじゃないし。
来たとしても、剣の腕には並々ならぬ自信がある。マッチョたちの誰よりも。
ロンドンで毎年開催される、剣の腕を競うトーナメントがある。
世界中から鍛えられた強者が集まる
その大会には、“剣舞の部”“実技の部”と二つのトーナメントがあり、俺は“実技の部”の5年連続チャンピオンだ。
だからその腕を買われて、こうして警備のバイトをさせてもらっている。
でも俺はできるなら戦いたくない。
戦って傷つけあいたいわけじゃない。
俺はただ、剣術を極めたいだけなんだ。
意味もなく戦うくらいなら、秘宝なんてくれてやる。
俺の初めての夜番が静かに幕開けした。