恋時雨~恋、ときどき、涙~
「願い事が、叶うんけ」


本当なのか、嘘なのか。


それは、分からない。


でも、どっちでもいいと思った。


もし、本当に願い事が叶うのなら、その2本の虹を見てみたいと思った。


わたしは、健ちゃんの手を強く握った。


「真央の願い事、何?」


わたしはメモ帳を開いて、濡れていないページを探した。


【きいてみたい
 けんちゃんの声】


メモ帳を見せると、健ちゃんは少し悲しそうに目をふせた。


迷惑だったのかもしれない。


わたしは話題を変えるために、メモ帳にボールペンを走らせた。


【けんちゃんの願いごとは?】


ややあって、健ちゃんが言った。


「ライオンに、なりたい」


わたしの手から、メモ帳とボールペンが同時に落ちた。


わたしは、健ちゃんの目に吸い込まれてしまいそうだった。


「ライオンくらい強くなれたら、真央を守ってやれるんけ」


わたしの心臓の中で、100匹の子うさぎが飛び跳ね始めた。


健ちゃんの右手の親指が、わたしの下唇を静かに撫でた。




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