恋時雨~恋、ときどき、涙~
バスケットボールの練習が終われば順也が来るし、仙台から帰ってきた汐莉さんと、亘さんも来ることになっている。


夕飯を作って、引っ越し祝いをやろうという約束をしているのだ。


でも、わたしはそんな気分ではなかった。


わたしは、リビングで不貞腐れた態度を取り続けていた。


大きな硝子テーブルの上を2回、リモコンの角で強く叩いた。


これで、音が出ているはずだ。


健ちゃんが振り向いた。


「強すぎ。リモコン、壊れるんけ」


わたしはテーブルから体を起こして、両手を動かした。


〈いつも、はぐらかされてる気がする。何のためなの?〉


最近のわたしは、健ちゃんに質問ばかり重ねている。


自分でも嫌になるほどだ。


健ちゃんも「またか」なんて、呆れた顔をする。


でも、どうしても納得がいかないのだ。


気になり始めたら、どんなに些細な事でも気になって仕方なくなる。


どこまでも追及したくなるのは、A型の本能なのだろうか。


わたしは立ち上がり、キッチンに向かった。


〈どうして? 何のために、こんなに広い部屋を借りたの?〉



< 327 / 1,091 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop