恋時雨~恋、ときどき、涙~
歩道橋を下りると、そこに霧雨に濡れた順也が待っていた。


車椅子も濡れている。


わたしを追い掛けた健ちゃんのあとを、順也も追い掛けてきたらしかった。


わたしは慌てて、順也にトレンチコートをかけた。


わたしの腕を、順也が掴んだ。


「真央と健太さんが、うらやましくなったよ」


わたしと健ちゃんは、目を合わせて笑った。


でも、次の順也の手話に胸が熱くなった。


「ぼくも、もう一度、当たって砕けてみようかな」


〈どういうこと?〉


わたしが首を傾げると、順也は車椅子をくるりと回転させて微笑んだ。


「かっこ悪くてもいい。自分に、素直に生きようと思うんだ」


わたしと健ちゃんは霧雨に濡れながら、順也の両手にくぎづけになった。


「足、こんなんだけど」


順也が、自分の膝を撫でる。


「ダメ元で、もう一度、やり直せないか、しーに連絡しようと思う」


そう手話をして、順也は顔を真っ赤にして車椅子を走らせた。


わたしと健ちゃんは、順也の背中を見つめたあと、とびっきりの笑顔で見つめ合った。


「順也! 当たるのはいいけど、砕けたらだめだんけな」


健ちゃんが駆け出した。


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