恋時雨~恋、ときどき、涙~
「そう。それで、信じたんだね」


バカだなあ、と順也は涙目で吹き出した。


「笑い事じゃない」


静奈が、順也を睨み付けた。


「私は必死だったんだから」


ごめん、と順也は肩をすくめた。


でも、静奈はひどく興奮している様子だった。


「順也のためにって……だから、嫌で嫌で死にたいくらい嫌だったけど。私、毎日知らないひとの」


そう言って、静奈は涙をぼろぼろこぼしながら、両手を睨んで、唇を噛んだ。


相当強い力で、唇を噛んだのだろう。


静奈の唇が、青紫色に変色していた。


「私、この手と……この口で」


静奈の両手が、何かに怯えるように激しく震えだした。


顔も青ざめている。


静奈は急に狂ったように泣き出し、雪の上に崩れ落ちた。


順也が車椅子をゆっくり走らせる。


泣き崩れた静奈の前で停まり、順也は車椅子を下りた。


雪に膝をつき、震える静奈の肩を順也が撫でた。


「触らないで」


静奈は凄まじい形相で順也の手を振り払い、睨み付けた。


「私は汚い人間だから」




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